今日は私の好きなピアニストのお話。
日本ではあまり有名ではありませんが、
シュ・シャオメイ という中国人ピアニストです。
ご本人はもう20数年フランスに住んでおり、ヨーロッパを中心に演奏活動をしています。
私がこのピアニストを知ったのは、去年のこと。
たまたま深夜のBSで彼女のドキュメンタリー映画を見つけたのです。
当時は知らない演奏家だったので、まぁ見てみるか、という軽い気持ちだったのですが
見て、彼女の演奏を聴いて衝撃を受けたのです!!
演奏していたのはバッハのゴルドベルク変奏曲。
その演奏はまさに 天から降りてきた というか 悟りを開いた神が奏でているような
私が今まで聞いた音楽と全く違うものでした。
彼女自身は順風満帆に音楽を続けられてきた人ではありません。
中国という大国の大きな歴史に翻弄されたひとりで
大学在学中に 文化大革命が起き、 文化人知識人はやり玉にあげられたそう。
西洋音楽を学んでいた彼女もピアノを続けられる状況ではなくなり
労働キャンプで過ごした経験もあるそうで。。なんとも過酷な話です。
そんな中でもなんとかピアノを続けたけれど、
中国で続けることに抵抗を感じ渡米、その後フランスに渡ったそう。
国に迫害されたという思いから中国へなかなか帰ることができず、
帰国は祖国を離れて35年も経ってからというので驚きです。
それほどまでに心の傷は深かったのですね。
そんな彼女だからこそ奏でられる音楽なのか、
はたまた神からの思し召しなのか、
彼女の奏でるピアノからは ピアノに対する敬意すら感じます。
人を超越した感覚、演奏へのおごりなど微塵もなく、ひたすら音楽と向き合っています。
あぁ、こんなピアニストがいたなんて!と今まで知らなかった自分を悔いるほど。
もっと若い時、学生のときに彼女の演奏を聴けていたら
自分自身の学び方も、演奏も、聴き方も、もっと違うものになっていたかもしれない、と。
私は迷わず彼女のCDを買おうとしましたが、
手に入ったのは2枚だけ。フーガの技法 と ゴルドベルク変奏曲。
一番興味のあったバッハのパルティータは入荷時期未定で結局まだ買えていません。
彼女の演奏はYouTubeでも紹介されています。
音質はよくありませんが、興味のあるかたはぜひ覗いてみてください♪