昨日、函館のハリストス正教会の鐘について書きましたが、今日はその続きを。
私の一番好きな作曲家 セルゲイ・ラフマニノフ と 鐘とのつながりのお話をひとつ。
ラフマニノフ(1873- 1943)はロシア生まれの作曲家。
同時期に活躍した作曲家はラヴェル、ドビュッシー、プロコフィエフなど。
音楽史でいうと、この時代は近現代で、ロマン派音楽は終焉し
作曲家たちは新たな音楽の可能性を模索している時期でした。
そんな時期にも関わらず、ラフマニノフはロマン派らしいメロディックな響きを重んじて
美しい音楽をたくさん残してくれました。
彼は背も高く、手も大きく、とても優秀なピアニストでした。
ロマン派の名残があるロマンチックで叙情的なメロディーと
近現代らしい和声の使い方が入り交じり、情熱的で土っぽい香りのする音楽が沢山!
決して都会的ではなく、人間の泥臭さ、感情をえぐられるような切なさなど・・
俗っぽい といわれればそうなのですが、なんとも身近で魅力的な曲が多いです。
日本の「演歌」にかなり近い音楽じゃないかと個人的には思っていますが(笑)
彼は幼いころから
ロシア正教の教会の鐘(=カリヨン)がとても身近な存在だったそう。
彼の曲の中ではたびたび鐘のモチーフが登場します。
一番有名なのは 前奏曲Op.3-2 ≪鐘≫ でしょうか。
冒頭の3つの音がこの曲の鐘のモチーフです。
「ラ」「ソ#」「ド#」
この音型が曲のいたるところに散りばめられているんです。
彼の生きた時代は世界中で戦争が勃発していた時代。
1917年にアメリカへ亡命し、その後ロシアに戻ることはなかったといいます。
彼の作品中の 鐘の音 は望郷の念を表しているのかもしれません。
ラフマニノフの曲はとにかく音符の数が多いので譜読みが大変なのですが!
私も機会をみてまた彼の曲に挑戦してみたいと思っています。